戦後生まれの経営者の方も高齢になり、これから経営者の世代交代をしなければならない中堅・中小企業がますます増加してきます。
このような中堅・中小企業において事業承継をはかるには、親族や従業員に引き継いでもらう方法かあるいはM&Aにより売却する方法があります。
当然のことですが、事業承継がうまくいかない場合には、廃業という選択肢しか残っていません。
1、子供へ事業承継する。
従来は子供が事業承継するのが一般的でしたが、今日では子供の方から、企業経営という大きな責任の伴う仕事の引き受けを避ける例も増加しています。
また、企業経営には指導力や判断力など様々な経営能力が求められ、血縁関係だけで事業承継を判断することは、事業や従業員の将来にとって必ずしもプラスとはならないケースも出てきます。
借入金などに対する個人保証の承継も親族による事業承継の大きな障害となっています。
2、従業員へ事業承継する。
従業員であれば実際の業務を通じて後継者候補の実力を確認できますので、経営手腕という視点からは、子供よりも確実な選択といえるでしょう。
しかし後継者に所有権を譲ろうにも引き受けるだけの財力がない場合が通常だと考えられますので、従業員への事業承継の場合には、経営の承継はある程度解決しますが所有の承継はできないままということもあります。
また、事業承継後も金融機関が、担保解除や借入れの個人保証をはずしてくれない場合もあり、なかなかハッピーリタイアすることはできません。
3、M&Aによって事業承継する。
M&Aであれば、上記の問題のほとんどが解決可能となります。
事業承継は大きく分けて経営の承継という側面と所有の承継という側面を持ちますが、M&Aはその両者を一気に解決できます。
第一の経営の承継についていえば、まず考慮すべきポイントは後継者の能力であり、承継後に事業を発展させることができるかの見極めが重要です。
その点に関しては、M&Aによって事業を引き受ける新オーナーは、その事業をさらに発展・拡大できるという計画のうえで買収に踏み切るはずですから、経営能力にはそれなりの自信があると考えられます。
そうはいっても、事業承継で追及すべき目的は社員の雇用だけではないことも事実です。
1、創業者利潤を実現してハッピーリタイアできる。
オーナー経営者にとっては、M&Aによる所有の承継すなわち株式売却により現金を得て創業者利得を得ることは重要です。
すなわち、オーナー経営者の出口戦略としても、その選択肢は非常に魅力的なものです。
つまり、M&Aを使うことで、将来に少しずつ回収するしかなかった資金を、一時に回収することができるという利点があります。先に資金を回収することで、第二の人生を有意義に過ごしてもいいですし、新たな事業を開始してもいいでしょう。
2、事業承継により従業員の雇用の維持ができ、地域経済に貢献できる。
事業承継ができない場合には廃業しか選択肢はないので、従業員の雇用が失われることになりますが、M&Aを活用することで、販売先・仕入先の事業にも影響を与えることになるのを避けることができます。